クリーニング 豆知識
ドレスのクリーニングについて
ドレスを専門に特殊クリーニングして約20年余りが経ちますが、そんな経験から得られた情報をご紹介いたします。
■ドレスクリーニング出来ない素材
・生地素材の問題は殆ど無く、染めが甘く色泣きする場合は洗えません。また、生地に装飾として付いているパーツで糊付けされた物は洗う事で糊が剥れるため、丸洗いは不可能となります。
<まとめ> 色泣き&糊付けパーツがなければ丸洗い可能です。
シミと汚れについて
・主な汚れの原因
式場の絨毯やタイルもワックス加工されています。屋内でもドレスのトレーン引きはワックス汚れが付着し易くなります。
ドレスはポリエステル等の化学繊維が多く、静電気の影響でホコリを呼び付着しますが、ホコリも空気中の油脂成分が含まれます。特に冬場の乾燥した時期は要注意。
食べこぼし、飲みこぼし。(ワインや日本酒は特に注意)
ガーデン等で芝生を歩く場合、芝生は色素や農薬加工されて緑鮮やかになっている場合が多く、特に雨上がりや湿度の高い日は付着し易くなりますので要注意。
ファンデーションや口紅
汗や皮脂
・主なシミの原因
上記の汚れが付着して、時間が経過すると「シミ」になります。
ほとんどの汚れは、付いてすぐだと洗うだけで簡単に落とせますが、時間の経過で空気中の酸素と結合して酸化したり、汚れの成分がドレス生地の成分と結合して複合化したり…で、洗うだけでは落ち難い「シミ」に変化します。
注意したい汚れは、生地を染める時に使う染料系です。ワイン・泥・草木の汁・花粉等が挙げられますが、万が一付いた場合は何もせず早めに信頼の出来るクリーニング店へ出してください。
特に水を使ったり熱を加えたりして処理を間違えると取り返しの付かない結果となります。
職人のひとこと
シミ抜き職人は、汚れがシミに変化した時期や状況を想定して作業に入ります。大よそ汚れが付いた時期でも分かれば作業はスムーズになります。
また、信頼できないクリーニング店に出されて落ちなかった場合、水や熱を加えたり薬品を使ったりの処理を施した可能性が大きく考えられますので、ご依頼時にその旨をお伝えください。
ドライクリーニングについて
ご家庭の洗濯は、洗剤を溶かした水で洗いますが、水の代わりに石油などの有機溶剤を使って洗濯することをドライクリーニングといいます。
ドライクリーニングは油脂系の汚れをよく落とし、また衣類の伸縮が生じにくい優れた効果があります。しかし一方で、物によっては色落ちしたり逆に素材自体を傷めたりすることがあるため、使用に際し特に専門知識を要します。
また、ドライクリーニング溶剤は、水洗いの様に都度流し捨てる事はせず、ドライ機内を循環しながらフィルターで濾過され再利用されます。
フィルター濾過機能も飽和状態を過ぎていては、綺麗に仕上がったドレスも雑菌だらけという結果となります。
真のハイクオリティとは、目には見えないドライ溶剤を如何に徹底管理し、透き通った綺麗なドライ溶剤で洗うか …ではないでしょうか。